さらばYS-11
唯一と言っていい日本製旅客機であり、名機として親しまれていたYS-11がいよいよこの9月30日で引退します。
これまでJAL系列の日本エアコミューターが福岡、鹿児島をベースに離島、ローカル路線で運航を続けていましたが、2001年に義務付けられたTACSという衝突防止装置の設置がないことから、退役の運びとなりました。すでにエアーニッポンからは2003年8月31日で引退しています。
お世辞にも快適な飛行機とは言いがたい部分もありましたが、60年代の高度成長期に作られた機能美と言える美しさ、愛らしさがあり、引退は一抹の寂しさを感じてしまいます。
ラストフライト日の9月30日はすでに予約等は無理でしょうが、現在も福岡-鹿児島間のような幹線かつ新幹線と競合のため特便割引が設定されているような路線でも運航されていますので、機会があれば搭乗されることをお薦めします(という自分は搭乗できませんが…)
YS-11はタラップからの搭乗となります。
丸みを帯びた前面形状が何とも言えません。旅客機に限らず、今のコンピュータで設計された形状はそれ自身は効率的なのでしょうがイマイチ愛着がわかないですね。それに比べYS-11は何か生き物のような感じを受けます。
ちょうど新幹線0系と同じものを感じます。0系も同世代ですね。
機内は狭いですが、2-2のシート配置なので、ワイドボディの真ん中に座ったり、B737の3-3の窓側に座るよりはよほど快適なような気がします。
ただ棚が文字通りハットラックでしかなく、荷物を載せられないのは結構不評だったようです。
プロペラは窓横にあるので、回転する様がよく見えます。
空を飛んでいるなというのはジェット機より実感できそうです。
もっともプロペラの隣は景色は楽しめそうにないですが…。
ただ最近トラブル続きのDHC8-Q400など最近のプロペラ機で主流である高翼機は、プロペラが景色の邪魔にならない一方で、デザイン的にはあまり良くなく(やっぱりジェット機と同様窓下に翼があるほうがいいわけで)その点ではYS-11に軍配があがるように思います。
日本製なので「スチュワーデス呼び出しボタン」と書かれています。
まあスチュワーデスという言葉自体死語になってしまいましたが。
YS-11は高度が低くかつ巡航速度も遅いので、晴れていれば相当楽しい景色を楽しむことが出来ます。ただ上昇スピードも遅く、そこに至るまではよく揺れるのが玉に瑕なようです。
YS-11はAPUがないので駐機中はエアコンが動かせません。そのため電源供給をケーブルで受けるのですが、それでも夏は暑く冬は寒く、エアコンが効くにはプロペラが動き出し離陸するまで待つ必要があります。
なかなか人間味のある動きですが、ビジネス利用者などからすれば今一歩ですね。
仮に搭乗できなくても、福岡や鹿児島ではまだその姿を見ることが出来るでしょうから、一度その勇姿を眺めてみたいものです。
また全国各地の空港や博物館でYS-11が保存されていますので、機会があったらそちらにも行ってみたいと思います。